「従業員エンゲージメント」とは何か?その重要性を解説
新型コロナウイルスが世界に‟新しい日常”をもたらしたことで、企業における従業員エンゲージメントの重要性が、未だかつてないほどの高まりを見せています。
それを裏付けるように、従業員エンゲージメントが高い企業は、そうではない企業よりも常に良い結果を出していると言われます。
「従業員エンゲージメント」という概念は、決して目新しいものではありませんが、日本では認知度が低いこともあり、実用されているのは特定の分野に限られています。
本記事では、従業員エンゲージメントとは何か、なぜ必要だと位置づけられているのかについてご紹介いたします。
従業員エンゲージメントとは?
最近よく見聞きする「エンゲージメント」という言葉。一般的には、活力、献身、知識の吸収を特徴とし、仕事に関して前向きで充実した精神状態をもつことを指します。そして「従業員エンゲージメント」とは、企業への信頼や貢献意欲のことであり、いわゆる「愛社精神」とも呼ばれています。
70年~80年代の古き良き日本では、言葉こそ使われてはいなかったにせよ、この従業員エンゲージメントによって多くの企業が経済成長したことも事実です。ですが、ミレニアル世代とZ世代が今後の労働力の主流となる中、こうした新しい労働者たちが期待するインセンティブや労働条件は、従来通りではなくなりつつあります。
仕事そのものに意味を見出す若い世代
若い世代は、やりがいを感じられ、かつ自分が楽しめる仕事を求める傾向が強いと言われています。
日本には多くの経営者がいますが、中にはこの変化を理解していないため、新しい世代の労働者の求めるニーズに応えるようなインセンティブや方針が確立できないままの企業も見られます。
個人の価値観の重視や働き方改革による雇用形態の多様化に伴い、従業員エンゲージメントの意味合いも時代とともに変化を遂げています。「自分の意見を聞いて欲しい」「職場での存在意義を感じたい」と思いながら働く人が増えてきていることからも、企業に就職して給料をもらうだけの時代はもはや終わったと言えるかもしれません。
企業は、これからの若い世代に対し、彼らが仕事を通じて何を求めているかを理解する必要があるのです。
企業内で若い世代が感じる疎外感への対策
ミレニアル世代やZ世代は、自分の仕事の目的や意味を重視することは前述の通りです。彼らにとっては、かつて主流であった「大きな組織の中の小さな歯車であること」に満足するといった考え方はほとんどなく、むしろ周囲からの仕事に対する承認欲求は低くても、自分の仕事の成果を実感したいという思いの方が強いようです。本来であれば、帰属意識は従業員エンゲージメントを構成する重要な要素にもかかわらず、若い世代は職場への帰属意識が薄い傾向が強いと言えます。
ここである課題が生じます。それは、職場への帰属意識が薄いことで若い世代の社員が、時として企業の中で疎外感を感じがちである、という点です。
疎外感が生じる原因として、企業側の透明性の欠如、社員間の価値観の差、戦略的方向性に対する共有不足、そして誤解などが挙げられます。このような疎外感を避けるためには、若い世代の社員一人ひとりが自分の状態を正しく把握する「自己認識」を持ち、仕事に関するインスピレーションにあふれ、世代にかかわらず社内での共感が自然に広がるような企業文化を醸成していく必要があります。
もちろん、企業側の努力だけではありません。若い世代の社員側も、ある程度は自分の価値観を組織の価値観と一致させることが重要となってくるでしょう。
これからの企業におけるリーダーの大きな役割の一つとして、あらゆる世代の社員と組織のモチベーションを一致させることが重要となってきます。
<参考>
ミレニアル世代の社員のやる気を引き出すインセンティブプログラム(英語)
日本における従業員エンゲージメント
ギャラップ社の調査によると、世界の社員のうち「仕事にやりがいを感じている」と回答したのは、わずか15%であると発表されています。一方、日本ではもう少し高く35%という結果が出ています。
この数字は、日本人が中間的な答えを選択する傾向があることが影響していると推測されていますが、いずれにせよ、多くの社員は会社の方針や戦略に十分に共感まではしておらず、企業から言われたことを実行しているだけの可能性を残しています。
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