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【特別寄稿】授業の予習、復習の助けとなるオンラインツール

教室で勉強しているのであれば、分からないところを隣の人にきいたり、授業終了後に教員に質問することができます。また、同じ教室で受講している人から英語学習に関する情報が得られることもあるでしょう。オンライン授業がかなり一般的になり、ひとりで英語を勉強する時間が長くなりました。ひとりで勉強していると「ちょっと誰かにきいてみる」ということができず、なかなか勉強を進められない人も多いでしょう。今回はそのような状況でも授業の予習、復習の助けとなるオンラインツールを紹介します。 

オンラインで行われるスピーキングの授業の準備として、話すことをある程度準備することがあります。また、ライティングの授業では与えられたトピックに基づいて英語で文章を書き、提出し、フィードバックを受けるという流れで進められることがあります。このようなときに、「言いたいこと(書きたい)ことを日本語では言える(書ける)のに英語では言えない(書けない)!」と思うことがあります。辞書や文法書を使って準備しても良いですが、ここでは、DeepL翻訳 (https://www.deepl.com/translator)という機械翻訳のツールを使った英語学習を紹介したいと思います。DeepL翻訳は2017年にサービスを開始した無料の翻訳ツールで、これまでの機械翻訳に比べ性能が高いと評判の比較的新しい翻訳ツールです。 

それでは、DeepLにいくつかの日本語の文を入力して、その翻訳を英語学習に活かす方法を考えてみましょう。DeepLに以下の日本語の文を入力してみます。


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「リオデジャネイロの平均気温は東京の平均気温よりも総じて高い。」 

DeepLの翻訳は以下です。 

 “The average temperature in Rio de Janeiro is generally higher than the average temperature in Tokyo.” 

十分に通じる英語です。ですが、”the average temperature”が繰り返されているので、2回目を”that”とし” The average temperature in Rio de Janeiro is generally higher than that in Tokyo”とした方がより自然な英語ですが、日本語の文を英語にする際に、どのような文構造で書けば良いか、また、「総じて」のようにすぐに英単語が思いつかないものなどいくつか参考になることがあります。次に、もう少し難しそうな文を入力してみます。以下の日本語の文をDeepLに入力してみます。 

「機械翻訳の技術発展が生活に大きく影響を及ぼしている。」 

DeepLの翻訳は以下です。 

“The development of machine translation has had a significant impact on our lives.” 

日本語では「生活」となっているところを”our lives”と「我々の」を補完してくれています。この文では”has had”と現在完了形が使用されていますが、なぜ”has”ではないのでしょうか。日本語の「及ぼしている」の時制は現在です。ですが、これを英語でも現在時制”has”にすると日本語の「機械翻訳の技術発展が生活に大きく影響を及ぼす」のような意味になり、日本語の文が意味するところと少し違ってしまいます。DeepLは「及ぼしている」の「している」をうまく翻訳していると言えます。 


次に、話し言葉を入力してみます。 

「仕事がたくさんあったので、今日は疲れた。」 

この文をDeepLに入力すると以下の英文が得られます。 

“I had a lot of work to do and I’m tired today.” 

「今日は疲れた」を”Today is tired.”と言ってしまうのは日本人英語学習者の典型的な間違いと言われています。日本語の文の「今日は疲れた」には誰が疲れたのかは明示されていませんが、DeepLは訳出しています。文脈にもよりますが、この日本語の文の翻訳としては”I’m tired today because I had a lot of work to do.”の方がより良いかもしれませんが、このDeepLの翻訳でも十分に意味は伝わると思います。日本語の助詞「は」や「が」は必ず主語を示すわけではないので、日本語の文をそのまま英語にしようとすると何を主語にすれば良いか迷うことがあります。このようにどれを主語にして良いか迷うような日本語の文に、「象は鼻が長い。」や「広島は牡蠣が有名です」などがあります。これらをDeepLに入力すると、それぞれ”Elephants have long noses.”、”Hiroshima is famous for its oyster.”と正確に翻訳してくれます。話し言葉の場合は、普段から「英語ではどう表現するのだろう」と疑問に思ったものをDeepLに入力してその翻訳を参考にすることも学習の助けになるでしょう。 

このようにDeepLは「言いたいこと(書きたい)ことを日本語では言える(書ける)のに英語では言えない(書けない)!」という問題を解決してくれることがあります。ですが、DeepLによって翻訳された文が、あなたが英語で言いたい(書きたい)ことを十分に伝えられているかどうか判断が難しいところです。DeepLの翻訳があなたの意図に合ったものなのかどうかあなた自身が判断できる英語力を身に付けなければなりません。ですが、とりあえず、自分が言いたい(書きたい)ことをDeepLに翻訳してもらい、その表現を実際に使ってオンライン授業の講師からフィードバックを受けてみてはいかがでしょうか。DeepLが常に文脈に合った正確な翻訳ができるとは言えませんが、このような使い方をすることで使える表現の幅が広がることでしょう。 



執筆者紹介 ​ABOUT THE WRITER

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近藤悠介先生
早稲田大学グローバルエデュケーションセンター 准教授
略歴:早稲田大学教育学研究科博士後期課程修了 。博士(教育学)。英語のスピーキングやライティングの自動採点に関する研究を行っている。主な著書に『英語教育における自動採点ー現状と課題』(ひつじ書房、石井雄隆氏との共編)がある。


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