社員を海外赴任させるにあたってTOEIC® L&Rテストスコアはどの程度必要になるのか?
海外へ赴任させる社員を選出する際、各社員の基礎的な英語力を測る必要がございます。その際の指標として多くの企業がTOEIC® L&Rテスト を採用していますが、実際どのくらいのTOEICスコアをマークしていれば、海外赴任させても問題ないのでしょうか。
そこで今回は、海外赴任に必要なTOEICスコアの基準や、社員の英語力を向上させるのにおすすめな学習方法などを紹介します。
なぜ海外赴任の基準にTOEICが用いられるのか
海外赴任の基準としてTOEIC® L&Rテストを採用している企業が多いのには、以下の2つの理由が関係しています。
基準が明確になるため
現在日本の企業において、最も採用、導入されているテストがTOEIC® L&Rテストであり、スコアという数値化された指標は、選出の際の基準として最適だと言えます。企業によっては昇格要件にもTOEIC® L&Rテストを採用しているため、受験者にとっても、選考する側にとっても、身近な試験と言えます。
社員の英語力を測るにあたっては、英語面接などでその人の英会話能力を直接確かめるのが効果的であるものの、実際に一人ひとりにそのような対応を実施するのは時間とコストがかかるうえに、確認する側でも採点基準を明確にしておかないと、ばらつきが出ることが予想されます。
しかし、TOEICであればスコアという明確な基準が用意できるため、社員の英語力を効率よく測ることが可能です。実際、英語力を測る指標として多くの企業がTOEICを採用していることからも、その実用性がうかがえます。
基礎的な英語力が身につくため
TOEIC学習の取り組みのなかで、社員が基礎的な英語力を身につけられるというのも、重要な要素の一つです。
TOEIC® L&Rテストはリーディングとリスニングがカバーされており、試験対策を通じて英語で求められる基礎的なスキルを習得できます。また、TOEICはそもそもビジネス英語がベースとなっているため、高いスコアを獲得することがそのままビジネス英語の基礎力習得にもつながります。
ただし、TOEIC® L&Rテストの点数が高ければそれで完璧というわけではありません。特にTOEIC® L&Rテスト ではカバーできないスピーキングやライティングに関しては、別の指標を用いて社員の習熟度を測る必要があります。
そこで必要になるのが、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages:ヨーロッパ言語共通参照枠)です。国際的な基準であるCEFRを用いれば、より包括的に社員の英語力を測ることができます。
このCEFRについては、以下の記事で詳細に解説しております。ご興味があればぜひこちらもご覧ください。
社員の英語力を正しく把握するためには、TOEIC® L&Rテストに加えて、スピーキングテストを導入することをお勧めします。CEFRの基準とあわせて、より正確に社員の英語力をチェックできます。しかし、スピーキングテストの導入は、社員の負担の面やコスト面などから、難しい場合があるのも事実です。そのような場合は、まずTOEIC® L&Rテストで選抜を行い、対象者を絞ってスピーキングテストを受けさせるというのも、一つの手です。
なお、株式会社EdulinX(エデュリンクス)では、約10分で受験できるAIスピーキングテスト、“AISATS(アイサッツ)”を提供しております。社員の負担や運用コストを削減しつつ、スピーキングのチェックも行いたいなら、ぜひご検討ください。
海外赴任に必要なTOEIC® L&Rテスト スコアの基準
TOEIC® L&Rテスト スコアが何点の社員であれば、海外赴任の候補者として相応しいのでしょうか。これまでのヒアリングの結果では、多くの企業では海外赴任の目安として、600点程度を目安としている場合が、多いようです。
一方で、一般的にリスニング、リーディングに比べてスピーキングが苦手と言われる日本人が、600点程度で海外赴任をされるのは、赴任者にとっても負担が多く、企業にとってもリスクとなる可能性もございます。多くの企業で「海外赴任の目安をTOEIC® L&Rテスト600点」に設定したのが、かなり以前のことであり、一度設定したスコアの見直しをされていないケースも見受けられます。
グローバル化の加速、他国の躍進により、世界における日本の立場は、この30年で大きく変化しています。過酷さを増すグローバルビジネス環境下において、求められる英語レベルもまた、30年前に比べると、より高度な英語レベルが要求されています。
赴任先で円滑に業務を遂行させるためには、700点以上、あるいは、赴任先や業務内容によっては、800点以上の社員を選出する検討も必要です。
海外赴任に向けた英語学習の方法
TOEICで高いスコアを取得してもらうことも含めて、海外赴任を目指す社員にはハイレベルな英語スキルを身につけてもらう必要があります。
そのためにも、以下に紹介する2つの学習方法を社員に実施させたいところです。
①TOEIC® L&Rテスト対策を行わせる
英語学習初中級者にとって、TOEIC対策は、スコアボーダーをクリアする意味でも、基礎的な英語力を身につける意味でもおすすめです。問題集や参考書、eラーニングなども豊富なため、レベルに合った学習が独学でも勉強しやすいのも利点です。スコアが基準となるため、独学でも成果の確認が容易です。
社会人になってからの英語学習については、まず、Reading、Listening、文法、語彙といった「英語を理解する力=インプットスキル」をある程度習得した後に、Speaking、Writingといった「英語を運用する力=アウトプットスキル」を習得し、インプットスキル→アウトプットスキルの学習を繰り返すのが、王道であり、確かな方法です。そのためにもTOEIC学習はお勧めです。
②研修や英会話レッスンを受講させる
海外赴任の候補者に決まった段階から、研修会社が提供している研修や英会話レッスンを利用し、スピーキングやライティングなども含めた総合的な英語力を身につけさせるのも、非常に大切です。いざ海外赴任が決まってから、実際の赴任までの期間は2~3ヶ月程度であるため、英語習得の時間を考慮すると、決して十分とは言えません。できれば候補者の段階から、学習環境をサポートすることをお勧めします。
費用はかかるものの、社員も英語学習の必要性を強く感じており、モチベーションが高いため、学習効果もきたいできます。また、研修生のレベルや実際の赴任先での業務を想定したカリキュラムをカスタマイズするなど、海外赴任に特化した研修を提供しているケースもあり、うまく活用できればより効果的に社員の英語力を向上させられます。
実際に受講が可能なコースの詳細については、研修会社に事前に確認しておくことをおすすめします。こちらからの相談を受けて、最適なコースを提案してくれる場合もあるでしょう。
海外赴任者をサポートする際のポイント
海外赴任者自身が努力することももちろん大事ですが、万全のサポートを提供することが担当者側にも求められます。ここでいうサポートとは、今回紹介したような英語学習面の話だけでなく、異文化理解や異文化マネジメントなども含まれます。赴任者が現地で活躍するためには、英語力のみならず、異文化理解についてもトレーニングを実施することが肝心です。
また、ただサポートに徹するだけでなく、海外赴任者への動機づけもしっかりと実施しなくてはなりません。「TOEICのスコアを上げればよい」ではなく、「赴任先で活躍するための英語力、スキルを身につける」というマインドをもってもらう必要があります。
これらのほかにも、出国に際しての各種手続きに関する支援やメンタルケア、現地の就業規則や法令への対応なども欠かせません。海外へ赴任する社員のことを第一に考えて、あらゆる面でサポートすることを徹底してください。
まとめ
この記事では、海外赴任とTOEICについて以下を解説しました。
- なぜ海外赴任の基準にTOEICが用いられるのか
- 海外赴任に必要なTOEICスコアの基準
- 海外赴任に向けた英語学習の方法
- 海外赴任者をサポートする際のポイント
海外赴任する社員に求められるTOEICのスコアは、概ね700点です。海外への赴任を志す社員には、このスコアをボーダーとして提示することを推奨します。ただし、社員がTOEICのスコアばかりを気にして、本来の目的を忘れてしまうような事態は避けなくてはなりません。現地で通用する実践的な英語力と異文化対応力を身につけるのが最終目標である、という意識づけを定期的に行うことが重要です。
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