“多様性を受け入れる”とはどういう意味?
多様性を尊重する組織づくりにおいて、社員一人ひとりの意識改革は欠かせません。そのためには、“多様性を受け入れる”とはどういう意味であるのかを正しく理解しておく必要があります。
そこで本記事では、多様性の概要をおさらいしたうえで、社員に教育する際のポイントを解説します。
多様性とは?
多様性(ダイバーシティ)とは、性別や年齢、国籍、人種、文化、価値観といった異なる特性をもつ人々が互いを認め合い、共存していくことです。これは単に多様な属性をもつ人々が一緒にいるだけでなく、それぞれの違いを受け入れ、理解し合うことを意味します。
多様性は、表層的ダイバーシティと深層的ダイバーシティの2種類に大別されます。
▼ダイバーシティの種類
ダイバーシティの種類 |
項目 |
表層的ダイバーシティ |
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深層的ダイバーシティ |
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表層的ダイバーシティは目に見えやすい一方で、深層的ダイバーシティは外見やプロフィールだけでは判断しにくいため、無意識の偏見を減らす努力が不可欠になります。
“多様性を受け入れる”が意味するもの
多様性のある社会は、形式的に相手を受け入れる姿勢をとることではなく、真の理解と適切なコミュニケーションによって実現します。
多様性の受け入れと聞くと、“多数派が少数派を受け入れること”だと考える方が多いのではないでしょうか。しかし実際には、人それぞれ異なる背景や価値観をもっている以上、誰もが他者を受け入れる側であると同時に、常に誰かから受け入れられる側でもあるのです。
また、自身と異なる属性の人物を無条件に肯定すればよいわけでもありません。異なる価値観や文化があることを理解したうえで、相手との関係性に応じて適切な距離感を保つことが大切です。
企業が多様性を受け入れるメリット
企業が多様性を尊重し、それを活かす環境を構築することで、さまざまなポジティブな影響が生まれます。ここでは、具体的な3つのメリットを解説します。
①社会貢献につながる
企業による多様性の受け入れは、単に組織内の改善にとどまらず、より大きな社会的意義のある取り組みです。
多様性に富んだ職場環境は、性別や年齢、国籍、障がいの有無などにかかわらず、誰もが安心して働き、生きられる社会の実現に寄与します。こうした取り組みは、企業としての社会的責任を果たすものであり、その姿勢が評価されることで、自社のブランド力や競争優位性を高める効果も期待できます。
社員には、理想的な社会の構築と企業価値の向上という二重のメリットを理解したうえで、積極的に取り組んでもらうことが重要です。
②多様な人材が集まる
多様性を受け入れる企業は、求職者にとっては魅力的な職場に映り、多様なバックグラウンドをもつ人材を引き寄せます。応募の母数が増えることで、企業はより優れた人材を確保できるようになるはずです。
こうした職場環境は、既存社員の定着率向上にも貢献します。たとえば、柔軟な働き方や個々のニーズに応じたサポートが整備されていれば、入社後の社員や既存社員が安心してキャリアを継続できるはずです。さらに、既存社員に多様性の重要性を教育し、理解を深めてもらえば、のびのびと働ける環境を作り上げることも期待できます。
③幅広い価値創造につながる
多様な視点やスキルをもつ人材が集まることで、従来の固定観念にとらわれない新しいアイデアが生まれる可能性が高まります。異なる価値観をもつメンバー同士が意見を交換することで、革新的な発想が促され、停滞していたプロジェクトに新たな風を吹き込むかもしれません。
また、多様化が進む市場環境への対応力も強化されます。こうした価値創造のプロセスは、企業全体の成長と競争力の向上に直結します。
多様性について教育する際のポイント
相手に関心をもつ
多様性の受け入れは、相手に対して関心をもつことから始まります。単に「人それぞれ」という言葉で片付けるのではなく、相手がどのような価値観や背景をもつのかを理解しようと努める姿勢が大切です。無関心でいることは、多様性を尊重することとは異なります。
職場においても、社員一人ひとりに目を向け、関わりをもとうとする姿勢が欠かせません。これは単なる礼儀や形式的な交流ではなく、相手の個性や状況に配慮した行動を通じて、お互いが助け合える関係を築くことにつながります。また、こちらが関心をもつことで、相手も心を開きやすくなり、スムーズなコミュニケーションや協力を促進します。
教育の場では、こうした積極的な関与の重要性を具体的な事例とともに伝えると効果的です。
バイアスを自覚する
無意識にもっているバイアスを自覚することも、多様性の教育において重要な要素となります。私たちはこれまでの経験や文化的背景を通じて、気づかないうちに固定観念や先入観を形成しています。
たとえば「外国人は自己主張が強い」や「年上は無条件に敬意を払われるべきだ」という考え方は、バイアスの代表です。これらの思い込みが無意識のうちに他者を傷つけたり、誤解を生む原因となることも少なくありません。
教育の場では、自分がもっているバイアスを意識的に振り返ることを促し、「自分の考えが必ずしもすべての人に当てはまるわけではない」と一歩引いて考える習慣を身につけることを提案します。多様な価値観や背景をもつ人々がいることを理解し、それを基にした柔軟な対応ができるようになることが、多様性を受け入れる第一歩です。
まとめ
この記事では、多様性について以下の内容を解説しました。
多様性とは
“多様性を受け入れる”が意味するもの
企業が多様性を受け入れるメリット
多様性について教育する際のポイント
“多様性を受け入れる”とは、さまざまな属性をもつ相手にきちんと関心を向け、同じ共同体の一員として関わり合っていくことです。
企業が多様性を受け入れることには、多くのメリットがあります。自社をさらに発展させるためにも、社員に多様性について教育することは非常に重要です。
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