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Language Reactorのススメ:YouTubeで字幕を最大限に活用する

幼い子供から年配の方まで,広い世代でインターネットが利用されるようになってきました。中でも,YouTubeなどの動画コンテンツは人気が高く,地上波のテレビ放送の人気を凌ぐ勢いです。外国語学習に特化して作られたYouTubeコンテンツも多く存在するので,自分で外国語学習に利用できそうな動画を見つけて学習していくこともできるようになりました。 「できるだけ生きた英語を学ぼう」などと言われることがありますが,今ではそうした「生きた英語」をインターネットの動画配信サービスでたくさん見つけることができます。 

本稿では,インターネット上で視聴できる動画コンテンツについて,字幕情報を効果的に利用しながら外国語学習に活かす方法をいくつかご紹介します。 

目次[非表示]

  1. 1. 字幕の重要性
  2. 2. Language Reactorとは
  3. 3. おすすめYouTube教育動画コンテンツ
  4. 4. まとめ

1. 字幕の重要性

動画コンテンツを外国語学習に利用する際,その動画に文字情報があるかないかで大きな違いが生まれます。学習者は,文字,つまり字幕がある動画を選んだ方が,目標とする言語を当然効率的に学習することができるようになります。YouTubeにアップロードされている動画を見てみると,多くのコンテンツに字幕情報がついていることがわかります。人気のコンテンツですと,ボランティアの人が字幕を作成してくれていたり,複数の言語の字幕を選ぶことができたりします。また,まだ人によって字幕が作成されていないコンテンツも,自動で生成された字幕を参照することもできます(ただし,こうした字幕情報はまだ不十分なところも多く,間違いが含まれていることがあります)。 

動画や音声を使って英語を学ぼうとするならば,字幕やスクリプトがないと自分で聞き取った英語が正しいかどうかをすぐに確認することができません。こうしたことを考えると,多くの動画に字幕がつくようになったことは,外国語学習者にとっては朗報以外の何者でもないでしょう。むしろ,こうした字幕を最大限に活用することが,動画コンテンツを使った外国語学習を成功に導いてくれるのではないかと思っています。


2. Language Reactorとは

動画コンテンツで字幕を活用しながら効率的に外国語学習をするために,Language Reactorとよばれる便利なウェブアプリがあります。Language Reactorとは,WindowsやMac OSを搭載したコンピュータでGoogle Chromeのウェブブラウザを使用すると使うことができるブラウザ拡張機能(Chrome Extension)の1つです(便宜上「アプリ」と呼ぶことにします)。このアプリを使用すると,Chromeのブラウザ上でYouTubeやNetflixなどの動画コンテンツを視聴する際に,外国語学習がしやすいように字幕情報をコントロールできるようになります。例えば,事前に指定した字幕を動画上に2種類表示することができます(図1)。 また,ブラウザ画面右側のセリフの一覧から特定のセリフを選択して該当シーンに飛ぶこともできます。このアプリを使えば,動画を視聴する際に,文字情報を参照した頭出しがやりやすくなりますし,同じセリフをクリックして繰り返し聞くこともできます。字幕情報が登録されているYouTubeの動画であれば,このアプリを利用しながら外国語学習に役立てることができます。 

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図1:Language Reactorを使ったYouTube動画の例①
(TED-ED, Does grammar matter?より)
 
Language ReactorはChromeウェブストアより,無料で簡単にインストールすることができます。


3. おすすめYouTube教育動画コンテンツ

YouTube上には外国語学習に活かせる教材は数えきれないほど存在しますが,とりわけ質が高く,私が個人的に特に気に入っているものを2つ紹介します。

1つめは,TED-Edという,教育者とアニメ制作者によって作られた良質な教育動画コンテンツです(図1)。動画は良質なアニメーションとわかりやすい英語ナレーションで構成されていて,1本の動画は5分程度と利用しやすい形になっています。コンテンツも知的好奇心をそそるものが多く,高校生くらいから大学生以上の英語学習者に広く利用できる内容になっています。公開されているアニメーションは数百あるので,「1ヶ月に〇〇本視聴する」のように目標を決めて視聴するのもいいでしょう。

もう一つは,Storyline Onlineという,英語の絵本を読み聞かせするコンテンツです(図2)。TED-Ed同様に,絵本の画像をベースにしたアニメーションがついています。プロの俳優が色々な種類の絵本を朗読しており,種類に事欠きません。何よりも,一流の俳優陣による生き生きとした朗読を聞くことができるので,比較的年齢の若い英語学習者にも退屈させないような内容になっています。若年の英語学習者から,英文朗読を学んでいる英語の先生に至るまで,広く利用できるコンテンツだと思います。

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図2:Language Reactorを使ったYouTube動画の例②
(Storyline Online, The Kiss That Missedより)


4. まとめ

YouTube上の動画で字幕情報を利用しながら外国語学習を進めていくにはLanguage Reactorというサービスが便利であることを述べてきました。また,このアプリと共に私が個人的におすすめしたい教育動画コンテンツもいくつかご紹介しました。英語学習者だけでなく,学生に英語を教えている方々もこうした動画を利用して良質な教材を作れるのではないかと思っています。

Language Reactorは、以前はLanguage Learning with Netflixと呼ばれていて,元々はストリーミング動画配信サービスのNetflixの動画視聴に特化したサービスでした。Netflixは月額有料のサービスですが,海外ドラマや映画などのエンターテインメントコンテンツが好きな方は,Netflix動画を視聴しながらLanguage Reactorを活用して英語学習を楽しく進めてもいいかもしれません(図3)。残念ながら,スマートフォンやタブレット端末ではまだ対応していないようですが,今後ますます使いやすい形になっていくのではないかと注目しています。

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図3:Language Reactorを使ったNetflix動画の例
(Prison Break, Season 1, episode 1 [Netflix]より)



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執筆者紹介 ​ABOUT THE WRITER

久保 岳夫先生

開成学園非常勤講師

早稲田実業学校で英語科教諭を13年間務めた後,現職。早稲田大学,上智大学,東京農工大学,予備校などにも出講。専門は英語教育学,英語音声学。


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