

獨協大学英語学科には、英語学習に対する高い意欲とエンゲージメントを持つ学生が多く在籍しています。
しかし、学科の最終的な教育目標は、高度な英語運用能力を通じて豊富かつ正確な情報を得て、広い視野で物事を捉えながら自らの考えを深め、それを適切に表現できる人物を育成することです。
そのため、1年次には、すでに日本の高校生の中でも高い水準にある英語力を、さらにアカデミックな水準まで高め、2年次からは英語による学術的・専門的な学修を開始します。3・4年次には日英語の区別なく言語能力を十分に生かしながら、それぞれの専門分野の学習を追求していくカリキュラムとなっています。
eラーニング導入前の課題
英語学科には、1学年約250名の学生が在籍しています。
「英語が好き」「英語が得意」「英語能力をさらに上げたい」という肯定的・能動的な情意は、学生全体に共通しています。一方で、入学時点での到達度にばらつきがあり、また帰国生、外国にルーツを持つ学生、留学経験者、日本の学校教育のみを経験してきた学生など、英語習得の背景も多様です。
そのため、4技能5領域における得意不得意の違いが大きく生じていることも常態となっています。
こうした個人差を生かせる教授陣による、少人数での対面形式の授業も充実しています。
しかし一方で、英語クラスを少人数に分けていることにより、「学科生の全体像・全体の傾向」が正確に捉えられないという、教育運用上の課題もありました。
Practical English 9 導入の経緯
そこで、一人の教員が1年生全員を担当する授業形態として、eラーニングを活用することにしました。
1年次の英語基礎科目としてのeラーニング自体は約20年前から導入していましたが、当時の教材は教員の介入がかなり必要なものでした。また、幅広いレベルの学生が混在する本学科では、英語習熟度別のクラスに分け、それぞれ異なる教材を使用する必要がありました。
しかし、2024年度の新カリキュラム導入を機に、Practical English 9のadaptive形式の学習プログラムを活用することで、一人の教員が250名の学生を担当する授業運営が可能になりました。
eラーニング導入にあたっての採用基準
採用にあたっては、主に次の2点を重視し、Practical English 9の導入を決定しました。
近年、日本の英語教育では、小中高での「4技能5領域」を意識した指導が進んでおり、入学してくる学生の英語力の多様化を強く実感しています。20年ほど前であれば、「文法はよくできるが、ほとんど話せない」「リスニングが苦手」といった学生が多く見られましたが、現在では、
など、知識や技能のバランスは実に様々です。
こうした多様な知識と技能を持ち、「さらに英語力を伸ばしたい」と考えて入学してくる学生一人ひとりの得意・不得意を把握しながら指導していくことが重要だと考えています。同時に、学生自身が自分の強みや課題を自覚することも大切です。
Practical Englishを活用することにより、こうした取り組みも可能になると期待しています。
また、EdulinX様は、英語教育についての造詣が深く、日本の主要な英語教育学会にも常に参加されており、多くの学校の英語教育事情を把握されている点も採用の決め手となりました。
さらに、新年度の新入生登録などの問い合わせ対応も迅速であり、大変ありがたく感じています。
Practical Englishの活用方法
1年生必修科目「E-learning」(春学期・秋学期)で使用しています。
各学期は3ターム(1ターム3〜4週)で構成しており、学生は毎週4レッスンに取り組みます。
各タームの最終週となる4週目には、Practical English 9の複数レベルの問題に加え、TOEIC、TOEFLの問題も抽出し、語彙・文法・リスニング・リーディングの100問テストをオンラインで実施しています。
本授業は原則オンライン形式で行っています。毎週授業時間に設定されている曜時に、学生個人宛に前週の成績を配信しています。また、学年の全体的な取り組み状況や今週の課題、意識して欲しいことなどについても配信し、自分の状況を客観的に捉えることができるようにしています。
学生に対しては、adaptive形式によって高いレベルの問題が自身に提示されることが、評価のひとつの観点であると伝えています。また、「ゴールド合格」のみを評価対象とし、解答解説を確認後の再受験による「グリーン合格」は評価対象外としています。自分の現状よりも上のレベルに取り組むよう常に指示することで、オンライン学習であってもモチベーションを維持できるように努めています。
導入後の成果
2024年度からの「E-learning」では、それ以前の習熟度別グループではなく、一人の教員が250名の全学科生を同一授業内で教授・見取る形態にしました。
これにより、同一基準による評価が可能になりました。
これまでは、習熟度別クラス編成で評価を行った場合、絶対評価を採用していたとしても、上位クラスの一部の学生と下位クラスの一部の学生で評定の逆転現象が起こることがありましたが、その問題が解消されたことは大きな成果です。
また、学生の技能別の学習傾向などについて、学科教員間で共有するためのレポートも容易に作成できるようになりました。
受講生や先生方からの評判
実は、2024年度のカリキュラム改訂では、eラーニングを廃止する案もありました。
しかし、事前に実施した学科生へのアンケート調査では「自律的に学習する習慣を作れる」「(他の授業ではあまり機会がない)語彙・文法の体系的な学習ができる」など、eラーニングに意義や効果を感じるという意見が多く、継続することになりました。
現在の大学生は多忙であり、授業外で自由な活動を積極的に行う時間を確保することが難しい状況もあります。そのため教員からも、学生を教室に縛らないことで、主体的な活動時間を創出できるという観点から、eラーニングの有用性が評価されています。
今後の展望や課題、EdulinXに望むこと
英語学科生の高い意欲と自律性を生かすため、AI等を活用した「個人でできる学習」と、豊富な教授陣との、また刺激し合える学生同士での生のやり取りを生かした「協働的な学習」の適切なバランスを追求しています。
小学生の頃からICTを活用した英語学習に慣れた学生が入学してくる時代に備え、「大学ならではの英語教育」とは何かを、本学教職員は常に考え、議論しています。
重要なのは、学生が高度な英語力を身につけることで見える広い世界を知ること、そして単なる意思の疎通にとどまらず、深い思考に基づく考えを正確に伝えられるようになることです。また、日本人が今後身につけるべき英語力を体現するモデルとなる人材の育成も目指しています。
その素地作りとして今後もeラーニング教材を活用していきたいと考えています。
EdulinX様には、学生が「グローバル視点の英語・英語力」を知ってもらえるような情報提供を期待しています。本学にはヨーロッパやアジアなど、非英語ネイティブ圏からの留学生が多く在籍しており、その高い英語力に日本人学生が圧倒される場面も見られます。日本人学生が他国の大学生との英語力の差をより自覚できるよう、例えば語彙学習の際に、「他国の大学生の多くが習得している語彙」であることを示す表示や、eラーニングコンテンツの登場人物や話題に非ネイティブスピーカーを取り入れるなど、グローバル視点で英語力を捉えられる仕掛けがあると良いと思います。
また、本学科にはネイティブ教員が多数在籍しており英会話の機会は豊富にあるため、AIを活用した、スピーキング以外の技能トレーニングのサービスにも期待しています。

外国語学部英語学科 准教授
羽山 恵 先生
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